ヘレン・シャルフベック 〜魂のまなざし
フィンランドにヘレン・シャルフベックという女流画家がいたのを知っているだろうか?日本ではあまり紹介されて来なかったが、2012年に生誕150周年を記念する回顧展が開催され、今 世界的に注目されている画家だと言う。そのヘレンの初期から晩年にかけての代表作が一堂に観れる展示が葉山で行われている。
フィンランドの画家と聞いて、ちょっとファンタジックな絵を想像し(一緒に連れて来られたツレはムーミンの絵も見れるの?と聞いて来たw)何の知識も得ずに訪れたが、100点あまりの作品を1枚1枚丁寧に見て行くうちに心が痛くなり泣けて来た。そして最後の1枚にたどり着く頃には号泣のあまり直視出来なかった。
3歳の時に腰を傷め障害者であったヘレンだけど、最初の絵は光に満ちあふれていてとてもまぶしかった。やがて19世紀から20世紀にかけての多くの画家がParisを目指した様に、彼女もParisに向かい、そしてセザンヌやピカソなどからの前衛アートの影響や婚約者からの突然の婚約解消が彼女の作風を一変させる。戦争というきな臭い世相もあったのだと思う。
それがどれだけ変わったかと言うと、、、この代表作の一つである自画像が、、、、
30年後にはこんなに(下)なってしまうのだ・・・・
この展覧会は画家の奇跡ではなく、一人の女性の心の内面を綴った奇跡だった。生まれて初めて絵を見て共感という感情を持った。それも100歳以上も年上のフィンランドの女性の絵に。だから展覧会を見て号泣してしまったのだ。
このチャーミングな子供の絵も素敵だったけれど、前期の彼女は小さな子供を沢山描いており、それはなんとなく北欧のロートレックと言っていいような優しくて柔らかな作品だった。
まだ日本ではあまり知られていないけれど、フェルメールの様に近いうちにきっと人気になりそうなヘレン。ミステリアスなフェルメールが隠れ男性ファンを持つことに対して、ヘレンは密かに女性の共感をさそう画家になりそうだ。
2016年1月10日から3月27日まで
神奈川県立近代美術館 葉山にて