shigemmy’s note

絵を描く者のおぼえがき

クートラスの思い出

2017年になって、ずっと休んでいたこのブログ。

今年中に書いておきたかったアート展『クートラス』について、

今年もあと3日となった今日、慌てて書き出すことにした。

 

Robert Coutelas

1930年パリ生まれ、10代から工場に勤め、その後、石工となる。

ちょっと複雑な関係の両親の反対にあいながら仕事の傍ら作品作りと続けた結果、

なんとか作品が認められ、リヨンの美術学校に無事に入り、28歳の時に

パリデビュー!しかし、画廊とことごとく気が合わず、貧乏生活になり

画材が買えなかった時に、落ちてたカルト(carte)タロットカードや

トランプみたいな紙を剥がしてその台紙に絵を描き始めたる。

その後も次々とカルト絵を描いていき、カルトの画家として知る人ぞ知る

アーティストとなった。

 

このクートラス展を見たのは、京都の大山崎山荘美術館アサヒビール所蔵)

http://www.asahibeer-oyamazaki.com/tokubetu/31888/

 

その当時の京都は2月の節分祭で賑やかだったけど、京都からローカル電車に乗り継いでわざわざ人里の美術館まで足を運んだのは、クートラスが見たかったわけでなくて

(ごめんなさいクートラス)このロッジのような山荘後の美術館に行きたかっただけだったのだ。

 公共ではない、私有の小さな美術館巡りは完全に私の趣味だ。

特に古い建物の所がお気にいりで、展示から溢れて見える古い納戸の扉だの

何年も置かれた状態の床の絨毯だのを見ていると、かつてここで生活していた

人の贅沢な暮らしをイメージしては、毎回うっとりとした気持ちになる。

今回は豪華絢爛な京都の外れの物静かな場所に、お気にいりのこの美術館を見つけた事が何よりも嬉しい。

 

で、クートラスですが(やっと)彼が最後に付き合っていた恋人が書いた

『クートラスの思い出』という伝記を、この美術館で手に入れた。

著者であり恋人だった岸真理子・モリアさんは日本人。(現在パリ在住)

岸さんが最後に彼から莫大な遺作(ほとんどがカルト)を受け継ぐ事になり、

作品を管理している。

最後の恋人が岸さんで無かったら、おそらく日本で見れなかったのではないか。

そう思いながら、時々、本を開いては、ゆっくりと話しを追いかけながら

とある変わったアーティストの人生と、不思議なカップルの思い出話しに出会った、

京都での奇妙なご縁を感じながら、旧き良きパリと、旧き良き京都の洋館の

シンクロする空気を楽しんでいる。

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